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にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和6年7月号(No.56)
【①(法改正)育児休業給付の給付率引上げ】
「働き手不足」「雇用確保」「離職防止」これらの言葉は今までも事務所だよりで何度も使用したキーワードでしたが、今回「共働き・共育て」を推進する目的で施行日が令和7年4月1日となっている雇用保険の「育児休業給付の給付率引上げ」や「育児時短就業給付創設」を法改正情報としてご紹介したいと思います。
①育児休業給付の給付率引上げ
子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、雇用保険被保険者とその配偶者 の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を新たに給付し、育児休業給付の給付率67%(育児休業開始から通算180日間)とあわせて給付率80%(手取りで10割相当)へと引き上げになります。
※配偶者が専業主婦(夫)の場合や、ひとり親家庭の場合などには、配偶者の育児休業の取得を求めずに給付率を引き上げる。
②育児時短就業給付の創設
雇用保険被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合の新たな給付として、育児時短就業給付を創設。給付率については、休業よりも時短勤務を、時短勤務よりも従前の所定労働時間で勤務することを推進する観点から、時短勤務中に支払われた賃金額の10%とする。
これらの制度は、従業員さんの子供の出生と育児休業(特に男性従業員)、その後の子育てを支援する観点から効果が期待出来る法改正かもしれません。ただし、これらの制度を活用しようと考える従業員さんにとって職場が受け入れてくれる環境でない場合や利用した場合の代替要員の確保やスムーズな職務の引継ぎの体制が整備されていないと制度を利用する人、しない人両方が共倒れになり、さらなる働き手不足や離職者の発生に繋がることを想定のうえ対策を講じなければなりません。
【②親しき中にも礼儀あり】
今年の3月に父が亡くなり、口座の凍結や車の廃車手続き、契約していた公共料金及び各種サービスの母への名義変更手続き、さらには遺族厚生年金や未支給年金の手続きなど順を追って自分が中心になって行ってきましたが、最後に残っていたのが不動産の登記変更でした。
これも専門家の方に依頼することなく自身で書類を作成して相続登記の申請をしようと考えていたため、先日和歌山法務局に記入方法や添付書類について事前予約のうえ相談に伺いましたが、そのときに対応した専門員の方のこちらへの説明するときの言葉遣いが「●●やから」「●●ですやん」「●●せんでええからね」と本人は日常会話のつもりで話をしていたのかもしれませんが、馴れ馴れしい表現で教えを乞う側からすれば上から目線で物事を言われている印象を感じ、非常に不愉快な思いをしました。行政機関については担当者の当たり外れがあるのかもしれませんが、日頃から対応に不満を感じることが残念ながら多いと感じます。
かつて私が勤務していた職場で全般的に指導が厳しい上司がいました。言葉の言われ方によっては傷つくこともありましたが、その人に注意されたことで覚えているのが、私が転職して間もなく、退職前の引継ぎとして私に業務を教えてくれていた方との会話の中で私の口癖でついつい相手に「OK」「なるほど」「了解」などと回答していたのを聞いた上司が私を呼び「親しくない人への言葉遣いに気をつけるのはもちろんのこと、職場で親しくなった人とはいえ仕事上の会話の中での言葉遣いは特に注意しなければならない」「親しき中にも礼儀ありを忘れないように」と言われたことは、今も私の中で日頃から注意しなければならないと意識しています。厳しい上司でしたが、言っていることは間違っていないことも多かったため、私にとって大変勉強になる期間でした。
先月もお伝えしましたが私は現在、年金手続きに関する公的機関での窓口業務を週1日程ですが機会を頂いています。先ほどは自身が経験したことを批判しましたが、私も話す言葉によっては相談者の方に不愉快な思いを与える可能性があるかもしれません。大事なのは常に自身の話し方がどう伝わっているかを意識して相手との会話に注意することだと感じます。
私は父の経験もあったため、最近は手続でご家族が亡くなった方の相談の際には「これからも手続きがたくさんあって大変だと思いますが頑張ってください」と伝えることを心掛けています。「礼儀やマナー」は言葉遣いだけでなく気持ちを伝える、伝わることも大事なのかもしれません。
~最後までお読み頂きありがとうございました~